2025年11月14日金曜日

「キャベツ畑で捕まえて」

 昨今仲の良い、北海道出身の同僚が赤羽に呑みに行った折、はじめて「ちくわぶ」がでてきて「これはなんですか」と顔をしかめていたことがあった。

そうだ、「ちくわぶ」はもとは関東限定の食材であって、大手コンビニチェーンがおでんをやりだしてから、全国区に知られるようになった、なんて話を思い出し「押し」で食べてもらったならば、えらく気に入ったようだ。

そういえば近所に「ちくわぶ」の工場があるのを思い出し、切れ端や折れた中途半端な「ちくわぶ」がものすごく廉価で売っていたのを思い出し、手土産で彼に手渡したらえらく喜ばれた。地元が練り物で有名なところの出身者、には邪険にされがちな「ちくわぶ」だが、自分も幼少期から普通におでん種なんかに入っていると、家族取り合いになったほどだ。


いまだ季節問わず工場直売で購入している「ちくわぶ」、残念な事に急に寒くなったからか、先日行ったら売り切れであった、、無理もない4本で100円は安すぎるぐらいである、、、。

そんなこんなで連休がないなんてボヤくのは疲れているからか、

現場に出て腰が痛いならばわかるが、デスクワークで腰が痛いなんて、なんて因果なクライシスエイジであろうか。そんな休日三鷹方面へクロスバイクを進め、、前から気になっていたSストリートへ叩き値で売りに出され、気になっていたドンキーコートを買いに行く。

ものすごく状態が良くて、70s物なんだが残念なことに袖口が焼けていて、それだけで500円なんて値段。それも味と見越して考えた末に購入する運びに。ドンキーコートはショールカラー(へちま襟)が特徴的なコートで50~60sの臭いがプンプンする。

先日、コールテン(コーデュロィ)のコートを処分したところなんで、代用だな。嬉しくてそれを着て、武蔵野市辺りをさ迷ったのだが、日中には20度に達し汗ばむほど。あんま方々ゆくと、あれもこれもですぐに夕刻になるので、活動に制限をかけている自分。

、そう金もなくなるしね、、40代にもなると、若い頃欲しかったものが何の流れか、手元に届くという現象が起こる。欲していると、そういう巡り合わせを、目に見えないものが引き寄せるシステムになっているのか、世の中は。めぐり合っても当然高嶺の花で、自分の物にならないことがある、そういう時には「ドラえもんなんていてくれるな」という妙な感傷と、そこへいたる思考がバブル景気を幼い日に過ごした幻影と見る。それが手にできなかったときほど、むなしいものはない。であるから「貧欲」なんてスタイルを考えるけど、自分は物への執着が強すぎる気がする、そして飽きっぽい。空回りな経験ばかりが常に1速、ギアチェンジなしで巡行だ。

そんなことを考えながら、キャベツ畑の川沿いの、未舗装の道を行く。「ライ麦畑で捕まえて」、、も半分ばかし読んでほおり投げてしまっている。そんなよう様な後悔が織りなす、クライシスエイジな自分を「キャベツ畑で捕まえて」。晩秋の武蔵野市。



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