流ちょうな山形弁に、遠い父を重ねたならば、暑い砂の上に倒れ込む。虚脱、そうだ朝方には月山湖のほとりの国道を、土砂降りの中を、幾度も瞬き繰り返し運転してきた、その現実の差が広すぎるのだ。砂に寝転ぶも、しばらくして目を開けたならば白黒の世界、そう60年代当たりのカラーと白黒の映像が入り乱れる記録映画のようである。ふと空腹に駆られる、そうだ朝からパン2個しかも菓子パンしか食べていないこと思い出し~一路、湯野浜を引き上げて酒田市方面へと向かうことに、起き上がる、、けれど虚脱。砂だらけの身を払い、デッキシューズは砂まみれ。サンダルを用意していない事も、海に慣れていない事。刺す日差しの中、国道に乗り北上。
10数年前に来た時に、教えられたラーメン屋まで脚を伸ばしたのだが~まるで記憶がない。ただ屋号が壁面にデカデカと書かれていたことと、座敷があった記憶。おぼろげな記憶というものは、自分で盛るもので~そうでないことも多いから、実際に行ってみても全く違っていたりする。そんな記憶の修復作業ってのもなかなかに面白い物なのだが。
庄内空港を超える、唯々一本の伸びる国道は酒田へと続き、会津若松の時の往路に似ている。市内に入る、庄内ナンバーの車の波にのり、一路目指す酒田ラーメンの店舗。ラーメンにはそんなには詳しくはないが山形、酒田のラーメンはアゴだしスープの「ワンタンメン」である。「月」系ラーメンというらしい、、「月山」にかけているのか?屋号は「月」が入る屋号が多い。そんなんで、10数年前に行ったであろう酒田市内のラーメン店「満月」、な、なんと定休日とは!のちに聞くも日曜営業するので月曜休みが多いと~温泉宿の亭主。
うなだれて酒田市を再リサーチ、しばらく行くと「新月」なる酒田ラーメンの店舗、よしここだ!なかなかに繁盛している。この炎天下、数名の利用客が列をなしているが~会津・喜多方の坂内、炎天下45分待ちに比べればなんて事はない。食券を買い、すんなりカウンターに通されたのでいた。東京ではゲリラ豪雨中、と渋谷の映像が映っているが酒田市のこの炎天下、との世界の違いが凄すぎる。
運ばれてきた「ワンタンメン」、いやはやチャーシューといいワンタンといい、パンしか食べていない身の上からして、本能的に箸を割りすする。松尾芭蕉の碑があったが、染入るとは正にこの事。「無念無想」にて「新月」のワンタンメンを啜りゆくのでいた、、、。、おっと社長さん風の酒田ダンディーのセダン、、。ご当地ナンバーは凝ったものでいて、山形らしくサクランボのナンバープレート、6ベースの桁。「ああ、自分は酒田でこうしているんだな」出てしまう「つげ義春的」思考。酒田をあとにする、、、。


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