2024年2月26日月曜日

雨の日の豚汁定食

先日の長雨、小雨に霙混じる中を所要、荻窪へと至る。


荻窪の街を傘をさして歩いていると、80年代初頭のNHK特集、井伏鱒二を思い出す。大田黒公園なんか散歩している井伏鱒二を思うと、こうした寒い町はずれの、あまり笑顔になれない雰囲気かな2月の雨の日に、粛々と年を重ねてきて気がついたならば40も半ばになった自分に改めて気づかされる。田中角栄の特集「映像の世紀・バタフライネクスト」を観た際に、田中角栄の言葉を思い出した。「人生は短いんですよ、その短いわずかな間だけでも、裕福に暮らしたいじゃありませんか」「やがて悲しき物語」と題うった田中角栄の人生、「人生はあっという間なんだ」とこの頃よく思う。いまさらながら、後半はその辺りを意識して動いてゆきたいと思う、なんちゃって。この「なんちゃって」は先輩であるW氏の会話技法でいたが、まじめな話をして、おぼろげな結論を見せつつ固めてから、自ら滑る自虐ともいえる技法、いただきました(笑)


所要を済ませて、傘をさして歩いていると「ある雨の日の情景」という吉田拓郎の唄が脳裏をよぎる。90年代の前半はSONYのカセットテープに録音されていた、70年代に父親が録音した吉田拓郎のLP「元気です」「伽草子」というアルバムを録音した物をよく聞いていた。「元気です」なんてアルバムタイトルだが、ぼんやりとピンボケして元気とは言い難い、元気なんて嘘だろう、うつろな表情の吉田拓郎がうつる。浅川マキ風、とでもいうのか。自分の中ではそうした25年周期に逆行するのがカッコいいと思っていたから、父親の青春の残像を楽しむのが好きでいた。

1980年代に入ると、吉田拓郎らしさがまるでなくなってしまっていることに気がつく。井上陽水はそのままニューミュージックの波に乗れたが、吉田拓郎は何で乗れなかったのか?

今聞くとものすごい当時の時代のカラーと、古く乾いた木材の匂いが漂う。、ただそれがたまらなく懐かしいのだ。時代のとまったベビーブーマーの、祖父母宅2階にあった亡くなった叔母の、独身時代の残された部屋のあの雰囲気だ。冬の寒い長雨は、そうした自分なりの「未解決事案」を火傷の傷口のように、蘇らせる力がある。

、、またこうした普段あまり考えない事を、考えていると誤魔化したくなるもので、それに助長して空腹がうるさい。と、目に留まった「かつや」に入る。

「かつや」はカロリー表示がないと聞く、それは男性ターゲットと10年ほど前にテレビ番組で紹介していたが、女性も今ではなかなかに入っている。実にコスパが良い、こんな寒い2月の雨の日には「豚汁」が魅惑でいて、それにロースかつなんかついてきたならば、こんな「至福」はない。迷わず「豚汁定食」にする。税抜きでも690円ぐらいだったか、、あの食べ放題な「はりはり漬け」も食欲を増進、滞在20分ですっかり気分転換出来てしまったのでいた。かつを食べているときの人々の目はランランとしているのも面白い、あの「お待たせいたしました」と運ばれてきて「すべてお揃いでしょうか?」と尋ねられた瞬間は、「幸せですか?、、はい」と置き換えることができる。一日雨でいたけど、、自分は単純な奴だと、そう呟いて帰路に就く。どうしても振り返りばかりでいるのが腹立たしい。


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